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フランス書院文庫。国産初の「姉」&「女教師」もの




小菅薫「姉は女教師」

フランス書院文庫では、国産の「」「女教師」ジャンルの第1号が本作。
母子
」ジャンル以外で、私のアンテナにかかる「姉」「女教師」の両方の要素が入った「コストパフォーマンス」の高い作品でした。文庫初版は1985年7月で、同文庫の第三弾のラインナップ。
 これ以前の「姉」ジャンルはドン・ベルモアの「姉の寝室」、「女教師」ジャンルにはトークン「女教師」がある。


 物語は、姉と弟に起きた5年前の事件の描写から始まる。

 姉の美代子は東京にある音大に通う20歳の大学生。弟の誠一はその5つ年下との設定。

 姉弟で連れ立って出かけたクラシックコンサートの帰り、人気のない場所で二人は事件にまきこまれてしまう。

 清純で上品な美代子は、もちろん処女。彼女が陵辱される場面はこんな感じで描かれている。

 まるでメリメリッと音がしたかと思うほど、茎の先端に肉を突き破る感触があった。
肉棒が全て埋めこまれてしまったのだ。
「んんんん――ン、ひいいいぃ……」(p24)


 美しく、自身にとっても憧れの存在だった姉が汚される一部始終を見てしまった弟は、その後屈折した性格に育ってしまう。

 姉と弟の物語が始まるのは弟の学校に姉が音楽教師として赴任してからのことだ。

 忌まわしい事件を経たはずなのに、美代子はその美しさを失っていない。

 涼しげな黒い瞳は、二重まぶたに守られてクッキリと刻まれ、白い肌に墨の筆を入れた日本人形のようだ。
 くるくるとよく動く大きめの瞳は、二十五歳の今も愛くるしさを備えていた。
 ふっくらとした小鼻の下に形のいい紅い唇。
 ルージュを引くまでもないほど赤味を帯びたその唇に、美代子はリップクリームを塗っている。(p35)


 一方の誠一は姉の同僚の体育の女教師に、こんなねじれた思いを持つ青年になっている。
 
 激しい獣欲が誠一の下半身を駆け抜け、あの高慢ちきな女教師を、身ぐるみ剥いで犯してやりたいという衝動が誠一の頭をどす黒い血でいっぱいにした。
 誰がお前みたいな教師の言うことを聞くか。何が姉さんも心配してるだ。ふざけるな。お前のような女は、殴り倒して犯してやる。 何度も何度も汚してやる。床に這いつくばらせて後ろから犯してやる。お前は豚だ。豚のように泣き声をあげさせてやる。色気づいたその顔を、思いっきり汚してやるからな。(p41)


 こんな屈折した青年、いやだなあ。
 他の女には暴力的に振舞う誠一だが、姉に対してだけは違う。
 バスルームにいる姉の姿を覗くシーンや、寝ている姉の身体を見るなど、禁断の行為のシーンでは、純粋な弟の思いが伝わってくる。

 誠一の心臓が、破れそうなくらい早鐘を打ちはじめた。
 白い肌がお湯のためにピンク色を呈して、若々しい肌が水をはじく。
 その肌に細かい泡をすりこむように丹念に洗う姉の姿が、手にとるように見えた。
 実際は曇リガラスを透かして見ているにもかかわらず、誠一の眼には、姉の肌の色艶や瞬間的に見える黒っぽい翡りの中に、 一本一本の恥毛がはっきりと映るような気がした。
 自分の姉がバスルームにいる。
 全裸で……甘い香りのする肌や髪を洗っている……。(p71)


​ ちょっとだけ、姉ちゃんの顔をのぞくだけだ。
 たいしたことはないじゃないか。
 (中略)
 美代子が寝がえりを打った。
​ ​姉が起きたのかと思った誠一は、その場で身動きもできず、息をつめた。
​ ​しかし、なんという幸運だろう。
​ ​美代子は大きく毛布をはねとばすと、あお向けになって、再び軽い寝息をたてはじめたではないか。
​ ​誠一のためにわざとそうしているのかと思うほど、都合のいい状態が眼の前にあった。
​ ​ネグリジェを腰のあたりまでたくしあげ、右脚をまっすぐのばし、左脚を曲げて、股間が丸見えなのだ。
​ ​姉が、こんなに大胆に寝乱れるとは意外な気がした。
​ ​誠一の手は、じっとりと汗に濡れて、眼はまるで吸血鬼のように快楽に飢えていた。
​ ​もつれる手で自らの下半身から悪魔の肉塊を取りだす。
​ ​左手で熱い分身をしごきながら、姉の股間に顔を近づけた。
​ ​細くなった白い下着が股間の裂け目にくいこんでいる。
​ ​ムッと姉の甘酸っぱい体臭が鼻をつく​。(p77)


 たまらずオナニーをはじめてしまう誠一。

 誠一は姉の顔を見た。
​ ​あどけなく美しい。
​ ​この世のものとは思えぬほど美しかった。
​ ​その瞬間、うっと身を屈めると、誠一は自ら放出したものを手で受けとめた。
​ ​熱かった。快楽の叫びを殺すために、誠一はシーツを思いきり握りしめていた。
​ ​やがて、激しい後悔が襲いはじめた。涙が自然にあふれてきて、誠一は姉を見た。
​ ​涙でかすんで、姉の姿がぼやけて映ったが、美しさには変わりがなかった。
 ​(p81)

 ​
 誠一の複雑な心境が伝わる、なんとも味わいのある場面。

 姉が岡本とデートに出かけた後、誠一は姉のクローゼットを物色する。姉が、他の男と結ばれることへの嫉妬、そして悲しみ。手の届かないところに姉が行ってしまう予感が、誠一を突き動かしている。

真っ赤なワンピースを洋服ダンスから取りだすと、ベッドの上に置いた。
つづいて罪深い誠一の手は、洋服ダンスの下の引き出しにのび、下着がしまわれている段を引いた。
そこにはぎっしりと下着がつめこまれていた。
スリップ、ガーター、プラジャー、パン​ティ、パンテイストツキング、ペチコート……。
誠一の顔は痴果のような表情になり、眼は血走り、回はだらしなく開かれ、明らかに興奮していることがわかった。
ここにある下着を自分の姉が身に着けているのだ。
あの美しい肌に密着させ、くいこませ、あらゆる分泌物を吸い取っているのだ。
姉の肌に触りたい/ 姉の肌を吸いたい​(p83)



​ だが、その美代子は​5年前の事件の影響で、結局岡本とは結ばれず、悶々とした思いを抱えて帰宅する。そして

 今日こそあの人に全てを捧げよう、そう思っていながら、結局は果たせず、燃えることなくくすぶりつづけている女の肉体を、美代子はもてあましていた。
 無意識のうちにパジャマの胸ボタンをはずす。
 上から一つ、二つ……三つ……四つ……。
 パラリと毛布の下でふくよかな乳房が露出された。
 おそるおそる手が乳首にのびて、充血してピンと尖った頂点を愛撫しはじめた。
 電流が縦横無尽に走り抜ける快感に、美代子はしばらく身を任せた。
 「んんッ……うっ……はああぁぁ……」​
 ああ、こんな姿を誠一に見られたら……。
 そう考えると、いっそう美代子は燃えた。​(p107-108)


弟を想像して燃える。姉にも弟への秘められた欲望の芽があることを示唆する​​描写​だ。

​美代子の深層心理に何が潜んでいるのか、以下はそれを示す場面。弟に見られているかもしれないと思い、興奮してしまう理由もここにある。

​弟に覗かれているのも知らず、美代子は胸をはだけ、秘部を露わにしたまま、指を自らの股間で激しく動かしていた。
ああぁぁ……もっとちょうだい……もっと奥まで……乱暴に​ ​もっとメチャクチャに……何か言って、汚いことを言って…
美代子は、鮮やかに五年前の忌わしい事件を思いだしていた。
​(p113)​

 ここにあるのは被虐の喜びだ。それは事件の記憶と、そのときそこにいた弟の存在と結びついている。

 もちろん美代子は弟のことを性の対象とは考えていない。あくまでも弟からの一方的な欲望だ。事実美代子は紆余曲折を経ながら、岡本とついに結ばれる。
 だが姉と岡本が、自宅で結ばれるその場面を、弟は目撃してしまうのだった。

 激情に駆られ家を飛び出した誠一が、家に戻ると姉は既に寝入っていた。姉が他の男と結ばれる場面を見たショックから、誠一は自暴自棄になり、姉に気付かれてもいいと開き直った気持ちで姉の身体に触れる。

今夜という今夜は、姉に気づかれてもかまうもんか。
こんな気持にさせる姉が悪いのだ……。
誠一はやみくもな情欲に身を任せるしかなかった。
光と影の形づくる妖しげな曲線の中に、くっきりと姉の陰毛が息づいている。
全く無防備な姉の裸が、誠一の眼の前に置かれている。
誠一はふるえる手で美代子の乳房を軽く触ってみた。
そして乳首に顔を近づけると、唇でそれを挟み、舌で転がしてみた。
甘い香りと味の中に、ミルクのようななめらかさを感じて、誠一は思わず自らの一物を握りしめた……。(p215)

実は目覚めている姉は、弟の行為をとがめたくない一身で寝た振りをつづける。

「姉ちゃん……綺麗だ……」ささやくような弟の声が呼びかける。
美代子は、今夜という今夜は全てを理解した。
弟が姉に対して肉欲を抱くなどということが、この世にあるとは考えたこともなかった。
しかし、近親相姦は現実にあるということ、それも自分と弟の間に……。(p217)
誠一の刺すような視線を感じる……ああ、見てるのね……わたしの恥ずかしい部分を見てるのね……。
弟に自分の女性器を見られて、それもこんなに近くで覗かれて、美代子は全身にカーッと血がまわりはじめた。
誠一、やめなさい……そんなこと……ああ、指で形を確かめてる……指で小さい花びらをひろげて……見てる。……弟が姉にこんな淫らな行為をするなんて……。(p218)
「……ごめんよ、姉ちゃん……お、俺、姉ちゃんと一度でいいからしたいんだ」寝たふりをつづけるしかない美代子は、答えることができなかったが、この哀れな弟を抱きじめてやりたいと思った。
しかしすぐに理性が美代子を取り囲み、美代子自身を責め苛みはじめた。
どうして弟にこんな行為を許したのか、と。(p219)


この「いけないと思いながらも寝たふりを続ける」というのは、姉の側にも深層に弟の行為を許そうという感情、さらに言えば実は深いところで自分自身も弟に何かしらの欲情を抱いていたことを示しているとも読み取れる。
そして弟はどんどん行為をエスカレートさせいく。

 寝たふりを続けてきたことが、弟の行為をさらにエスカレートさせ、その欲望を掻き立てていることに美代子は気づく。そして弟の口から自分への思いを聞かされたことで、自分の中にもあった、弟への禁断の思いを徐々に自覚していくことになる。
 弟に自分お秘密の場所を見られ、その恥ずかしさを味わっている描写は実にエロティックで、読んでいる者の興奮を掻き立てる。弟の側に感情移入しながら読むと、その胸の焼けつくような興奮や、背徳感がたっぷり味わえる。
 憧れの姉の、生の女性器をまじかで、しかも寝ている姉が起きないかとハラハラしながら見る。なんという興奮、スリル。

 そして運命の日がやって来る。
 思いを寄せていた同僚教師が、別の女教師と肉体関係を持っていたことを知った美代子は、街で酒を飲み泥酔して帰宅。弟に対して詰め寄り、挑発する。

 「わたしを見て欲情するの?……ねえ、誠ちゃん……わたしを見て興奮するのォ?」弟をなぶるように見たかと思うと、今度は哀願するような調子で、美代子はその美しい指先を誠一の股間にあてがった。
「姉ちゃん、やめなよ、酔ってんだろ」「わたしが嫌い?……見せたげようか? お姉ちゃんの裸……こんな身体、もうどうなってもいいんだから」ふらりと立ちあがり、美代子はストリップの真似でもするかのように、白いプラウスのボタンをはずしはじめた。
「よしてくれよ、姉ちゃん」(P236)


美しい姉は、弟の前で体をさらしていく。

ベージュのスカートがパラリと足もとに落ちて、誠一の眼前に、プラジャーとパンテイだけの姿になった美代子が立ちはだかった。
「ほら、よく見て……オナニーしてもいいのよ、下着も取るから」弟の前で裸になる姉……近親相姦という禁断の領域に姉弟はいた。
誠一は眼の前で展開している光景を、現実のものとして考える力を喪失していた。
ただ美代子の流麗なプロポーションや妖しい表情が、 一個の牝になりきっている不思議な生物のように誠一には映った。
そして近親相姦というタプーも、急速に誠一の頭の中から消えていった。
それほど今夜の姉は美しかった。
プラジャーとパンテイを引きむしる。
全裸になった美代子は、ソファから動けずにいる誠一の膝の上に馬乗りになった。
「さあ、キスして……お姉ちゃんにキスしてよォ……好きにしていいのよォ」誠一は姉の裸身から眼をそむけることができなかった。
ふらつく姉を支えるためにのばした手に、吸いつくような肌が触れた。
じっとりと熱く燃えるような美代子の肉体を、誠一は思わず抱きじめた。
香水と石鹸のまざった、姉のなつかしい匂いがした。(p237)



​ その後、泥酔して意識を失った姉の裸体をふろで清め。いよいよ姉と弟は結ばれる。

 誠一はベッドに脚をかけると、プルブルと震えている姉の肩口を両手で押さえた。
そしてゆっくり引き寄せるとキスをした。
吸い寄せられた美代子は、魔術にかかった人のように誠一のキスを受け入れると、眼を閉じた。
 一瞬のち、「ダメ ダメよ、誠一……こんなことしたら、わたしたちどうなるの?」乱暴に毛布を剥ぎ取った誠一は、姉の身体を逃がすまいとして抱きじめた。
「好きなんだ、誰にも渡したくない。姉ちゃんを誰にも触らせたくないんだ」​(​p242)


 弟の想いが叶う瞬間はこう描かれている。​​

​ ズブッと誠一の亀頭部分が、美代子の秘肉に埋めこまれた。
濡れていないために、こわばりは周囲の柔らかい肉と粘膜を巻きこんで、無理にもぐりこんでいこうとする。​
 誠一は力をこめて美代子の腰を太い腕でつかむと、一度埋めこんだものを抜かないように前後させて動きを試みた。
ぐりぐりと肉と粘膜がこすれ、ひきつって、皮が破れるのではないかと思った時、少しずつ少しずつ、穴がひろがるような感触があった。
​ ​実際には穴がひろがったのではなく、美代子の腟の奥から愛液が滲みだして、ビストン運動をやりやすくしていたのだが。
美代子は、自分の身体が濡れてくることにはっきりと気づいた。(p245)
 


姉の中は熱かった。
燃えるように熱い腟の中で、誠一はすでに爆発しそうな予感がした。
犯しながら、誠一は美代子の顔を見た。
苦痛に歪んだ表情……涙が浮かんでいた。
腰を動かすたびに姉の声が高く、そして悲しくひびいた。
「これで……これで姉ちゃんは俺のものだ。そうだよね、姉ちゃん」
「ああっ……誠ちゃん……誠一」
誠一は姉の太腿をかかげると、さらに肉棒が奥へ届くようにひろげた。
姉の腟は、誠一が知っているどの女よりも熱く、狭く、それでいてとても居心地がよかった。
他人と寝た時の心の隙間が、姉とであれば完全に埋められる。
姉弟だからこんなに素敵なんだ。
そう誠一は血走った頭で信じた。
一方、美代子も感じはじめていた。
いけないこと、許されないこと……そうわかっていながら、なぜか身体が熱くなってしまう。
これまでにない、得もいわれぬ洸惚が、姉の裸身をむしばみはじめていた。
「誠一……いい……感じちゃう。……ああっ、恐い……」
​(p246)

 (中略)
「ああ、姉ちゃん……あったかいよ。すっごくいい気持……」「あああっ、わたしも……誠一」ガクンと首を後ろに振り、美代子は息をとめ、全身に力を入れて上体を弓なりに反らせた。
突きあげてくるものに無言で耐えるように、眉根に数を寄せて快楽の波に身を任せた。
誠一は姉がこの時、何度も何度もイッているのに気づかなかった。
誠一は、自分の快楽の限界まで来ていた。
射精する寸前、誠一は最後の儀式であるかのように姉の顔を見た。
そして喘ぎ声を断続的に絞りだしている美しい唇を、思いっきり塞いだ。
あっけなく終わりが来た。
睾丸を引き絞り、肉棒の中の管を一直線に精液が駆け抜けて、美代子の腟の奥深くへと噴出した。
ドクッドクッと放出されるたびに、誠一は脳天が破裂するかのような幻覚を見た。​(p247)


禁じられた恋。5年の月日をかけて、誠一は思いを遂げる。心の深奥で姉もまた弟を求めていた。そのことが分かるのが、こんな描写だ。

 「……姉ちゃん……俺」
「黙って……いいの、しゃべらないで」姉は誠一の口を指で制すると、ギュッと抱きじめた。
誠一はなつかしい姉の横顔を見た。
つぶらな愛くるしい瞳がこちらを見ていた。
姉弟の眼が合って絡みついた。​(p248)


 ところどころ、暗くて情念のたっぷりこもった描写はあるものの。ラストは暖かな姉弟の愛情が確認されていて、個人的には非常に好きな作品の一つ。
 姉弟の性を描いた歴史的1冊(というのは大げさかな。。。)

theme : 官能小説
genre : アダルト

睦月影郎「欲情の文法」を読んだ

毎月、コンスタントに新作を発表してる睦月影郎氏の官能小説執筆指南本「欲情の文法」(星海社新書)を読了。




マドンナメイト文庫やグリーンドア文庫で精力的に発表し続けている作家の一人。
いったいどうやって、こんなにコンスタントに作品を書き続けているのだろうと思っていたが、本書を読んで納得。けっこうシステマチックに作品を執筆していることが分かる。

また自身の執筆手法も具体的に説明。作家を目指す人にとっては、非常に参考になるのではないだろうか。

例えば書き出しについてのこんな手法。

私の場合、書き出しは必ず会話か心情で始まる。(p102)

ぼくは心の中のつぶやきを書く。
そこで、一服して書き出しを考える。
会話にしろ、つぶやきにしろ、そのひと言目で、これからどうなっていくのかという興味を持たせる必要がある。
最初に説明から入ると、どうしてもつまらなくなる。
例えば、「彼は何歳で、高校を出てから何力月経って、今は何をしている……」と書いても、読者のワクワク感は演出できない。(p103)


また作品の構成については、必ず6章で構成しているという。それには以下の様な理由があるのだとか。

毎回、全六章にしておくと、読者が安心するということもあるだろう。
私の場合は、先に述べたとおり、基本的なストーリーは同じなので、第一章で童貞喪失して、第二章か第三章あたりでヒロインの処女が奪われるだろう。
中盤あたりに熟女が出てくるだろうし、第四章か第五章あたりで3Pが来るに違いない。(p100)


エンタテインメント小説の持つ心地よさ。娯楽としての小説の役割や特性とはこういうことなのか。読みながら、あらためて思った。予定調和と言えば言える。でも仕事や日常のゴタゴタから離れ、本の中の世界で心許して、妄想に遊ぶには、やはりこうした読者に与える安心感が必要なのだ。

 物語の設定については、「ギャップ」の重要性を説く。

 させてくれなそうな女性が、させてくれるからこそ、官能の話になるのだ。(p58)

 私は凛とした女性が好きだ。
 だから、女武芸者や武家娘をよく書く。
 そういう凛とした女性が、恥じらつたり、好奇心や快感を求めたりするところを描きたい。
 凛とした強い女性が、女らしく喘いでしまうところを描きたいのだ。(p67)

 結局、人物設定で重要なのは「ギャップ」である。
 凛とした女性が女らしくなるギャップ、普段キリッとしている女教師が一人の女性二戻るギャップ、貞淑に見える人妻が童貞男を求めてくるギャップ……。
 そういった様々なギャップこそが、官能的なのだ。
 そのためには、最初に女性を持ち上げる。
 女神様のように思うからこそ、ギャップというものが生まれる。(P68)


 そのギャップをより大きくする設定を工夫することが、読者の妄想を強め、興奮度を高めるのだと睦月氏は続ける。

 すなわち、同じ行為であっても、その前提となっている設定にギャップがあれば、それだけ興奮度も増すということ。
 だから、どのような設定にするか、どれだけ設定にギヤップを持たせられるかが、官能小説の肝になる。
 自分とは住む世界が違う女性、すなわちしてはいけない女性だからこそ、男は欲望を抱いたり、妄想が湧いたりする。
 それは、現代物と時代物との違いに関係なく、人間に共通する部分なのだ。(P70)


 なるほど。この考え方を敷衍すると、禁じられた行為、本来はありえない行為であるほうが、より興奮を高めるということにも繋がる。だからこそ、想像力、妄想力が求められる文字のほうが、映像よりも興奮できるのか。

  力づくで女性を自分のものにしたいというのは、男の本能ではあるけれど、それなら動物と同じ。
 動物的な本能を超えたフェチやロマンといったものを描きたい。
 それこそが、官能の世界であり、性の文化であると思う。(p61)


 官能小説というメディアの魅力について、睦月氏はこうも書いている。

 ほんの数秒の絶頂的体験を長く楽しむことができるのが官能小説だ。
 時間感覚をも操りながら、読者を官能の世界で溺れさせるのが官能小説家の仕事なのである。(p137)


 リアルなセックスや絶頂体験は、有限の時間の中でしか体験できない。特に男にとっての絶頂体験は、射精の一瞬。あるいは射精直前から、その俊寛、そしてその後の僅かな時間でしかない。映像もしかり。時間軸にそって、時間とともに進んでいくのが映像メディアの宿命だ。
 それに比べれば、活字は、ほんの一瞬の絶頂体験でも、延々と描写することで、読み手の妄想の時間を引き伸ばすことができる。

 1980年代から、ずっと書き続けてきた睦月氏の著作の数は、国会図書館のデータベースで確認すると700冊!(2016年8がう26日現在)。もちろん国会図書館に納められていない本もあるはずなので、その数はさらに多くなる。いやほんとうにすごい。

プロ中のプロといっていい睦月氏は、本書の最後で、こう書いている。

作家になろうと思ったら、それなりに本を読まなければいけない。
読書もしないで物書きになろうという人が、官能教室の受講生の中にもいるのだ。
それは、まるで野球部に入らないでプロ野球選手になろうというもの。
だから、「官能小説を読まなくても官能作家にはなれるけれども、基本的に文学を読まない人は人間にさえなれません」と言っている。(p230)


良識的な方々は顔しかめ、忌み嫌うような作品なのかもしれないが、やはり文章を生業としている方。官能小説にとどまらず、小説や文学など活字文化全般への思いを感じる一冊だった。


      

       

      

      

theme : 官能小説
genre : アダルト

「とてつもない裸!」

定期的にエロティック美術など、私の関心のど真ん中な特集をしてくる雑誌「芸術新潮」。
今回もやってくれました。見事にストライクです。

テーマはヌード。
特集名は「とてつもない裸! 日本ヌード写真史」




特集のラインナップは以下の通り

************
[第1部]タブーに挑んだヌードフォト・クロニクル タカザワケンジ 文
・中村立行 美しくなければヌードじゃない!
・吉岡康弘 神をも畏れぬ裸!
・加納典明 1969年「FUCK」の衝撃
・篠山紀信 都市×ヌード 1969 TOKYO
・吉行耕平 のぞきはアートである!
・荒木経惟 顔のない裸!
・倉田精二 ヌードは爆発だ!
・野村佐紀子 男のヌードを撮る!
・殿村任香 母のヌードを撮る!?

[コラム]nude photo「全日本史」講義
(1)日本最初のヌード写真は?
(2)大正12年の驚きのポスター秘話
(3)パイオニア野島康三
(4)戦時中にも撮った福田勝治
(5)ヘアヌードの狂騒
(6)メディアの変遷

[撮り下ろし 特別グラフ]
・オカダ・カズチカ×シノヤマキシン
・光浦靖子×サイトウ零央

[第2部]現在進行形のヌードフォト・レヴォリューション 宮本和英 構成・文
・2010年代の表現者たち
 いまヌードを志願する理由 相馬ドリル
 アイ・ラヴ・ぽっちゃり! Poko
 美しすぎる自撮りヌード airi
 被写体は私! 元人気モデルの写真家宣言 小森裕佳
・デジタルの革命
 跳ぶ女たち&夜の女たち 魚住誠一
 写真を超えよ! 加納典明
・エピローグ
 2010年代の知られざる巨匠 サイトウ零央
 ヌードフォトの現在地 タカザワケンジ 文
****************

写真なのでさすがにブログに転載することもできず、内容を紹介できないのは残念ですが、一見の価値ありです!




初めは波乱、でもハッピーになる母子3Pなお話



星悠輝「罪母【つみはは】」(フランス書院文庫)

久しぶりにリアル書店でフランス書院文庫を購入。
初めての作家さん。
2013年6月刊行で、どうもデビュー作のよう。
この文章を書いている2016年5月までに、「四人の女教師が泊まりに来た一週間」「義母VS同級生の母娘」「初体験四重奏 義母、義姉、新任女教師、隣人妻と」を出版。
フランス書院文庫でタイトルから推測すると、いずれも熟女と少年が、、といった内容ですね。



本作品の裏表紙の紹介文はこんな感じ

「私の奥まで入ってきて、あなたをずっと感じたいの」
13年間一緒に暮らした弘樹の証を、体内で受け止める和恵。
「あなたを捨てたママを許して、好きなようにしていいわ」
再会した息子への償いを込め、股間を開いて迎える慶子。
母性愛を競い合うように蜜戯に溺れる罪深き33歳と31歳。
禁忌と喜悦の狭間で二人の母が織りなす相姦ドラマの行方!

生みの母親と育ての母が、より愛情を確認できるようにと嫉妬心も互いに持ちながら、弘樹を共有しともに愛を交わしていくことを選ぶ。という筋立て。

33歳の育ての母和恵は、庶民的で和み系の女性として描かれている。
勃起したことに戸惑い、「僕病気かも」といういまどき珍しい純粋培養の息子の肉棒を目にした和恵、「大人の対応をしなくっちゃ」と、息子にオナニーの仕方を教えることに。

息子に肉棒を握らせ、その上に自分の手を重ねて、オナニーの仕方を教える場面は、ほほえましくもこっけいな印象も。

ふたりの手がスライドするたびに、亀頭の裏筋が伸びたり、緩んだりした。
「あらぁ、駄目よ、お母さんばかりに扱かせちゃ。一緒にやらないと、ひとりエッチにならないわ。もう少し、自分で扱いて。ほら、いち、に、いち、に…」
(p30)



もちろんこれは、お約束。実際には息子にオナニーの手ほどきをするどころか、和恵自身が母子の性戯に夢中になっていく。
「いち、に、いち、に」とか、ほほえましいというか、まるでコントみたいな印象だ。
で、あっという間に、オナニーの手伝いどころか、母はフェラチオで息子を喜ばせるように。

本作で最も印象に残ったのは、その表現手法。たとえば、こんな場面。

「れろっ…ちゅ、ぴちゃっ、ヒロくんの、男らしいわ…あむ、れろろ…」
(中略)
「れろっ、れろろぅ、じゅぷ…、れろろんっ…」


どこが印象深いかというと、いわゆる擬態語をカギカッコに入れているところ。
いやマニアックですみません…。

通常、こうした音にかかわる描写は、地の分でなされることが多いのに、この著者はそれをカギの中に入れているのが新鮮だなあと感じたというわけ。この場面のあと、当然、母は息子の樹液を口で受け止めます。

パンティをはいたままの自分の尻を息子の顔に押し当てながら、肉棒を吸い上げる母親。息子のがむしゃらな口唇愛撫を下着越しに受けながら、息子の射精と同時に、母もアクメに達してしまう。この辺の描写もいい。

口内が牡で満たされた瞬間、下半身が甘く痺れる。顔全体で和恵の股がぎりぐりと圧迫され、弘樹の鼻に女の入り口を押し広げられた。下着の中で陰唇やクリトリスを捏ねられ、下腹部からむず痒い愉悦が沸き起こる。和恵の牝が覚醒させられた。牡の香りと雌の刺激が混ざり合い、快楽の火種が身体に着火する。
(イクッ。お母さんも…オチンポ咥えながら、果てちゃう。イッ…クぅ…」(p52)

                                   

そこからセックスまではあっという間。
息子は、自身の誕生日の夜、母に高価なプレゼントではなく、母とのセックスをしたいとねだる。「お母さんのこと、もっと知ってほしい」と応じる母。
初めての挿入はこう描かれます。

 亀頭が二枚の肉襞を掻き分け、濡れた亀裂を押し広げていく。
 「おっ、お母さん!入った、入ったよ!
 「まだっ、まだよ! お母さんはもっと奥で待ってるわ。もっと腰を出してッ」
(中略)
 肉体的に結ばれ、精神的に繋がった事実は身体に刻まれ、そして、ふたりに何が起ころうと、我が子の記憶には綺麗な物語として残るだろう。
 膣はペニスを奥深くまで咥え、悦びのあまりにきゅっきゅっと収縮してしまう。
 「お、奥まで入ったよ…す、すごく気持ち…おおっ、お母さぁん!」(p71)


母子が初めて結ばれる場面。そこには息子の初体験以上の事実があるのだが、ねたバレになってしまうので、気になる方はぜひ読んでみてください。

こんな暖かな母子の関係を壊すのが、生みの母親の慶子。
これがまた、実に悪女っぽく、エキセントリックに描かれている。

息子といきなり口づけをする場面を引用すると

「もっと、口を開けるのよ。ママを受け入れなさい。コレは、あなたにとって大切な、新しい母子誕生の儀式なの。ほら口を開けてッ。じゅぷぅ、あむっ…」
 顎を上げた弘樹の口角から、白い唾液がツツッと零れた。
 (中略)
「ああ…キスだけでこんなに感じるなんて初めてよ、蕩けてしまう…」(P95)


母親というより、まるで少年を無理やり犯す強い女。そんなサディスティックな印象が登場と同時に描かれていく。
ここでも擬態語、擬音語がカギカッコの中に入っていて、不思議な粘液感をもたらしているのに注目したい。

「ぴちゃっ…、れろ…、れろっ…小さくて可愛らしいニップルね。ぴちゃ…、それにとても綺麗。おしゃぶりするわよ。ぴちゃっ、ジュルルルッ…」(p99)

慶子は息子を独占しようとするのだが、弘樹は13年間ともに暮らしてきた和恵を追い求める。
そんな息子の思いや、息子を奪い合う和恵の存在が、より性的興奮を掻き立てることを知った慶子は、3人での蕩けるような肉体関係を続けることを選ぶ。

以前紹介した悲劇的な結末となる三十年前の母子相姦とはまったく趣の違う作品なのでした。

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現実の母子相姦。アメリカ発のニュースから

生き別れた51歳母と32歳息子、再会で男女の関係に「子供も欲しい」

そんな見出しのニュースを見つけました。
エキサイトニュースで、詳細が伝えられています。


里子に出された32歳の息子と、51歳の実の母親が再会し、たちまち恋に落ちたという実話です。
二人の写真も掲載されています。
実にいい笑顔です。清潔感のある男女で、近親相姦という語感の持つ禁断の雰囲気が全く感じられません。

こうした里子といった事情により、生後すぐに引き離されたきょうだいなど長期間離れて暮らしていた親族が再会すると、互いに似ている点が多いことが理由などで、性的に強く魅かれてしまうという現象には、心理学用語で「ジェネティック・セクシュアル・アトラクション(Genetic Sexual Attraction)」という概念まであるのだとか。

うーん。事実は小説より奇なり。

しかし、真剣に子作りまで考えているというこの母と息子。すごい。

あと興味深いのは近親相姦に一定の理解を示してくれるミシガン州に二人が移り住んだということ。

一定の理解を示すって、なんだ?今度詳しく調べてみます。

アメリカでの報道

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ひとりごと

何がどうということはないけれど、どうも最近、世の中がぎすぎすしている。 いやだなあ。秋晴れの空みたいな、日々はもう戻ってこないのかなあ。
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官能小説や官能動画。性や官能にまつわる本、ニュース、ホームページなどを紹介。趣味で読んでいる英文官能小説の原文と翻訳もたま~に。タブーとされる近親間の性愛や、異端視される性愛のあり方などについてのニュースや考察、各種作品などを取り上げていきます。

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